「英単語帳、Distinction のアプリって実際どうなの?」「Distinction のアプリってどうやって使うの?」といった皆さんの疑問に、私が実際に Distinction アプリを使い続けた経験を元にお答えします。アメリカに留学し、ネイティブスピーカーの友人とのコミュニケーションや英語学習に日々取り組んできました。この記事では、Distinction アプリの実際の使用感や効果について、詳しくご紹介します。私のリアルな体験と評価を通じて、皆さんが Distinction アプリを選ぶ上での参考になれば幸いです。
Distinction アプリとは
英語系ユーチューバーのAtsuさんが作った実際の書籍の英単語帳、Distinctionがスマートフォンやタブレット上で使えるようになったのがこのアプリです。2023年6月時点においては、Distinction I, II, III, IV, VとStructuresが収録されています。
Atsuさんが自身のサイトにて、以下のように語るように、相当な月日と努力が結集された渾身のアプリのようです。
3年間の間エンジニアの方々と何度も何度も繰り返し議論・改善を行い開発した
Distinction チャレンジ
Distinction アプリを選んだきっかけ
私がシアトルへの留学中にDistinctionアプリを使い始めようと思ったのは、ネイティブスピーカーの友人との会話が聞き取れなかったことが1番のきっかけです。
日本人が大学受験や英検、TOEICの対策で使用するような英単語帳には明らかに載っていないような表現、特にかなりカジュアル/インフォーマルな単語・熟語を友人が使ったとき、全く理解出来ずになんとなくニコニコ頷いている自分がいました。1対1での会話ならまだしも、グループでの会話中だと「それってどうゆう意味?」と聞きにくく、悔しい思いをする日々が続きました。
そんな悩みを、1年先にニューヨークに留学していた友人に相談したところ、「ネイティブがよく使う表現がまとまった、良い単語帳アプリがある」と勧めてもらったのがDistinctionのアプリでした。
実際にNYに留学している尊敬できる友人が、
- 「ネイティブがよく使う表現がまとまった、良い単語帳がある」
- 「このアプリを使って実際に英語力が伸びたと感じる」
と言っていたのを聞いたとき、私は迷うことなくDistinctionアプリの購入を決めました。
Distinction アプリの購入方法・使い方
購入方法
Distinctionアプリは、アプリをダウンロードした上で、アプリ内コンテンツ(=単語帳)を購入することで使用できます。(※コンテンツ未購入でも使用は可能ですが、表示される単語数など機能に限りがあります。)
コンテンツの購入は、① アプリ上での購入、 ② Web上での購入 を選ぶことが出来ます。Web上だと、セット割引で最大25%安く購入することが出来ます。(※余談ですが、おそらく、アプリ上での購入だと Apple 社に販売手数料を取られるため、それを避けるための試みかと思われます。)
書籍版を持っていると、さらに 15% 割引で購入することができます。
Web 上で購入する場合、会員登録を行なった上でアプリ上でサインインをすることで、コンテンツを使用することができます。
使い方
ゴール設定
初めに、1日ごとに学ぶ新しい単語数(ゴール)の設定を各単語帳ごとに行います。そうすると、自動的に単語帳を1周するまでの期間や、1日にかかる時間を算出してくれます。逆に、1周するまでの期間や、1日にかける時間から設定することも可能です。単語帳を複数購入した場合、1日に学ぶ新しい単語数は少なめに設定することをお勧めします。
単語を覚える – 見て、聴いて、発音する
実際にアプリを使って英単語を覚えていく手順は以下の1-4の繰り返しです。
- 単語が音声と一緒に表示される
- 画面をタップ
- 意味、発音記号、例文、語源解説、類義語など詳しい情報が表示される
- Easy、Good、Hardのいずれかをタップ
また、音声認識を使った発音学習機能もあります。私は、バスや電車を利用する移動時間でこのアプリを使用しているため、上記の画面をタップして次々と単語を覚えていく機能をメインで使用しています。
Distinction アプリの良い点
私が実際に使用して感じた、アプリの良い点についてご紹介します。
ネイティブの表現が豊富
これは書籍の Distinction にも言えることですが、通常の単語帳では出会わないようなネイティブの表現が豊富に収録されていることがことが、1番の素晴らしい点です。
ネイティブの友人とのコミュニケーションで使える、より自然な表現を身に付けることが出来ます。
例えば先日、友人の Johnny と偶然すれ違い、 “What did you do today, Yuki?” と聞かれた際、普段の私であれば “Today? Ahh, nothing, haha” と答えていたところ、“Just slacking off, man”「ダラダラしてただけだよ」と即座に答えることが出来ました。ちょっとしたことですが、少しずつ色んな表現が使えるようになることが自信ややりがいにつながっています。
単語に関する情報量の多さ
書籍版と異なる1番の良い点は、単語に関する情報の多さです。特に、単語の表示と同時に音声が再生されるので、リスニングも鍛えることができます。
ネイティブの友人との会話で、自分がその表現を使える使えない以前に、知らない/聞き取れないのが問題だったので、この点がだいぶ改善されました。またその他にも、
- 発音記号
- 例文、例文の音声
- 語源の解説
- 類義語
といった情報が1ページにまとまっているので、覚える、そして使えるようなるのに非常に役立っています。例として、アプリに収録されている “sneaky” という単語の語源解説を引用します。
sneaky「ずるい、卑怯な」 – sneakは「こそこそ動作をする」ことを意味し、そこに接尾語 -y が付くことにより形容詞化し「こそこそした=ずるい」となります。靴の sneakers は歩く音が静かでこっそり誰かに近づけることからそう呼ばれるようになったと言われています。–
“sneaky” という単語を、私たちにも馴染み深い「スニーカー」と関連付けて覚えることで、記憶がより確かなものになります。
忘却曲線を考慮した復習機能
紙の単語帳で英単語を覚えるときに起こりがちなのが、「数ページ前の単語は、もう忘れてしまっている」という現象です。
学習の定着化には復習することが重要であると分かってはいるものの、英単語学習で復習する仕組みを自ら作るのはなかなか難しい。そんな悩みにダイレクトに答えてくれるのが、このアプリの復習機能です。
裏でどのようなアルゴリズムが動いているかはユーザー側からは分かりませんが、単語を覚える際にタップする Easy, Good, Hard の結果に基づいて、アプリが学習スケジュールを自動で最適化してくれるようです。
具体的には、既に学習した単語たちが、何度か再登場することで、復習することができるような仕組みになっています。この機能によって、より確実に単語学習を定着化させることが出来ていると実感しています。
Distinction アプリの改善点
実際に使用して感じた、アプリの改善点についてご紹介します。
復習量の多さ
つい先ほど述べたこと相反することのように思えますが、少し復習量が多すぎるということは言及すべきかと思います。
数日勉強を怠ると、復習する単語が50個、80個と膨大な量になる傾向があります。最初のゴール設定の段階で、1日に学習する新しい単語数を仮に「5個」と設定しても、復習すべき単語と合算すると1日に学習する単語数が20個以上になるという、少々ややこしい仕組みになっています。
個々のユーザーの学習ペースに合わせられる、復習数・頻度のカスタマイズ機能があれば、より良くなるなるのではないかと思っています。
例文の長さとクセ
一部の例文が長く、時には複雑な構文やクセのある表現が含まれていることがあります。これにより、少し理解に苦しむことや、例文を覚える気にならないことがあります。例として、アプリに収録されている “deal-breaker” という単語の例文を引用します。
deal-breaker 「別れる原因; 交渉決裂の要因」 – “Snoring is literally a deal-breaker for me. I’m like, “Don’t be within a five-meter radius of me if you snore.” 「いびきかく人と付き合うの本当無理だな。いびきかくなら半径5メートル以内にいないでって感じ」 –
言いたいことはわかりますし、シチュエーションが想像できるとても面白い例文だと思います。
ただ、この英単語帳が非ネイティブの日本人学習者のために作られているという性質上、例文はより理解しやすく、親しみやすく、普段の会話で使いやすい表現であるべきだと思うので、例文の長さとクセは改善の余地があるかと思います。
継続促進機能の分かりにくさ
Distinctionアプリには、ユーザーの継続的な利用を促すようなゲーミフィケーション要素として、XP、レベル、ストリーク機能があります。ただ、その機能が分かりにくい、ユーザーにとって継続利用のインセンティブになっていない、と感じています。
学習継続日数を表すストリーク機能はわかりやすいですが、XPが増えたから何なのか、レベルが上がったから何のか、いまいちパッとしません。通常ゲームにある似たような機能であれば、レベルが上がると新しいアイテムが解放される、より競争力が高いステージに移行する、といったものがありますが、英単語帳のアプリでそれを実現するのはなかなか難しいでしょう。
リクルート社のスタディサプリEnglish のように、連続学習日数、総学習時間、総学習回数といったシンプルで分かりやすい指標で良いのではないか、と感じます。
Distinction アプリの効果
TOEICやIELTSのスコアのように、定量的に評価はできませんが、実体験から得られる効果についてお伝えします。
私はDistinctionアプリの使用を通じて、英語力、特にネイティブスピーカーの友人との会話力が飛躍的に向上したと感じています。
冒頭で述べた通り、ネイティブスピーカーの友人との会話でつまずくことが多くありました。しかし、Distinctionアプリを使い始めてからは、彼ら/彼女らが使う表現やフレーズに対して理解が深まり、スムーズなコミュニケーションが取れるようになりました。特にカジュアルな場面やグループでの会話において、より自信を持って参加できるようになったことを実感しています。
留学開始をしてから日常的にネイティブの友人と過ごし、Distinctionアプリ以外にも英語学習で使用していたものが多数あるため、このアプリだけの効果であることは断言できません。
ただ、少なくともこのアプリで学んだ表現を友人との会話で活用した経験が幾度とあるという事実から、しっかりと英語学習効果があるものと言えます。
Distinction アプリのレビューまとめ
Distinctionアプリの良い点
- ネイティブの表現が豊富
- 単語に関する情報量の多さ
- 忘却曲線を考慮した復習機能
Distinctionアプリの改善点
- 復習量の多さ
- 例文の長さとクセ
- 継続促進機能の分かりにくさ
Distinctionアプリは、こんな人におすすめ!
ネイティブスピーカーの方との会話をより楽しみたい、自信を持って臨みたい、といった欲求を持つ人。例えば、以下のような方たちです。
- 留学中、留学準備中の人
- 学校、職場、取引先にネイティブスピーカーの方がいる人
以上、Distinction アプリのレビューでした。皆さんが Distinction アプリを選ぶ上での参考になれば幸いです。