世界の時価総額ランキング35位のアクセンチュアの日本法人であるアクセンチュア株式会社。
テクノロジーに強い外資系コンサルティングファームとして日本国内のコンサルティング市場におけるリーダー的存在である同社で働く人々はどれだけの待遇を得ているのか。
本記事では、そんな気になるアクセンチュアの待遇についてまとめました。
是非、就職活動や転職活動の際の志望先選定にお役立ていただければと思います。
本記事のポイント
- アクセンチュアの平均年収は約900万円
- アクセンチュアの新卒1年目の年収は430万円
- 大手コンサルティングファームで唯一の家賃補助(36万円/年)
- アクセンチュアの平均残業時間は約30時間でホワイトな職場
アクセンチュアとはどんな企業?
待遇の情報に入る前に、まずはアクセンチュアの企業概要について紹介します。
国内で10拠点以上を持ち、約25,000名を抱えるアクセンチュアは、テクノロジーに強みを持ちながらも、クライアント企業が抱える課題の上流から下流までをワンストップで支援するサービスラインを持っているコンサルティングファームです。
近年では「アクセンチュア ソング」と呼ばれるデザイン、クリエイティブ、データ、テクノロジー、マーケティングの専門家が集まり「カスタマーエクスペリエンス変革支援サービス」を提供する組織ができていたりと、その裾野を広げています。
日本法人の本社オフィスは日鉄興和不動産が手がける高機能オフィス「赤坂インターシティAIR(上記画像参照)」にあります。
まるで高級ホテルのような綺麗さで、とある新卒入社の社員の方は「初めて行ったときは、ここで働けるのか、ととても興奮した」とおっしゃっていました。
アクセンチュアの現役社員の方によると、オフィス内にもカフェ(STEM Café)や無料のコーヒーマシンがあるとのこと!
また、以下では簡単に売上高なども紹介します。
まずはアクセンチュアの日本法人単体で見た場合の売上高とその成長率、そして営業利益について経年比較したグラフから見ていきます。
アクセンチュア(日本法人)は、2019年から2023年の5年間、毎年10%以上成長率(前年比)を達成し、売上高は2倍に成長してきたことが分かりました。
また、営業利益に関しても2019年から2023年の5年間で約1.7倍に成長しています。
アクセンチュアの日本における着実な成長が目に見えて分かりますね!
新卒1年目の初任給や福利厚生は?アクセンチュアのリアルな待遇
このセクションでは多くの方々が一番気になるであろう年収や評価・昇進、福利厚生などと言った「リアルな待遇」の話を、実際の社員の方々へのインタビュー内容も含めて、具体的にまとめていきます。
気になるアクセンチュアの新卒1年目の年収は?
まず、新卒で志望先を選ぶ際に気になるのは初任給がいくらかだと思います。
以下では、アクセンチュアの初任給をみなし残業時間と併せて競合他社と比較しながら見ていきます。
企業名 | 初年度年俸(円) | みなし残業(時間) |
---|---|---|
PwC | 650万円 | 30 |
Baycurrent | 600万円 | 45 |
EY | 590万円 | 50 |
Deloitte | 580万円 | 50 |
KPMG | 570万円 | 50 |
IBM | 490万円 | 0 |
Abeam | 450万円 | 0 |
Accenture | 430万円 | 0 |
上記のグラフと表より、アクセンチュア(右端)は初年度年俸430万円、みなし残業は0時間ということが分かります。
このデータでは上記8社中最も初年度年俸が低いファームとなっていますが、みなし残業が0時間である(残業した分だけ給料が上がる)ことや唯一家賃補助が出ることから、実質IBMとKPMGの間くらいの待遇になるのではないでしょうか。
また、上記を踏まえると、アクセンチュアの初任給は36万円(額面)ほどになるでしょう。
新卒1年目の可処分所得(自由に使えるお金)はどれくらい?
就活生が意外と分からないのが、新卒1年目にどんな生活をした場合にどのくらい手元にお金が残るのかではないでしょうか。
社会人になってから大きく分かれる「実家住み」と「一人暮らし」でざっくりと二分し、アクセンチュアにおける1年目の可処分所得を算出してみましたので、参考にしてみてください。
月給(手取り) | 生活費 | 可処分所得 | |
---|---|---|---|
実家住み | 28万円 | 7万円 | 21万円 |
一人暮らし | 28万円 | 17万円 | 11万円 |
※実家住みは月6万円、一人暮らしは月10万円の水道光熱費・食費とする
生活費は家賃や食費・水道光熱費など生活に必要最低限なもので算出し、可処分所得は月給から生活費を引いて算出しています。
かなりざっくりとした計算にはなりますが、自由に使えるお金は実家住みで21万円、一人暮らしで11万円となりました。
これにプラスしてやった分だけ残業代がつきますので、新卒1年目としてはかなり自由に暮らせるのではないでしょうか。
口コミ
毎月それなりに良いご飯を食べて、欲しい服を買って、少し貯金をする余裕があるくらいには稼げていると思います。
皆さんも是非、この可処分所得があるときに何をしたいか・どんな生活ができそうか、新卒1年目の生活をイメージしてみてくださいね。
業界内では給与低め?アクセンチュアの年収事情
次に、待遇として一番イメージする年収(給与)について、インターネット上に落ちている情報と実際の社員の声をまとめます。
主な給与系データを持つ3つの媒体において無料で公開されている平均年収をまとめました。
媒体 | 平均年収 |
---|---|
Openwork | 869万円 |
OpenMoney | 900万円(30.4歳) |
エンゲージ 会社の評判 | 838万円(33.2歳) |
上記のデータから、アクセンチュア全体での平均年収は850~900万円程であると推測されます。
この数字は、コンサルティング業界の平均年収(FCON算出)である945万円よりやや低い年収水準にあるという評価になるでしょう。
ただ、日本全体の平均年収(400万円程度)を加味すると、給与はさすが外資系コンサルティングファームといったところでしょう。
さらにアクセンチュアにおけるタイトル別年収の参考値をご紹介します。
上記は企業口コミサイト等のインターネット上に公開されている情報とPRACAREER運営にて行った現役社員3名へのヒアリングにて作成したタイトル別年収一覧表です。
必ずしも正しい数値というわけではありませんので、あくまでも参考値としてご活用ください。
アクセンチュアはキャリアレベルという概念があり、それによってタイトルやその内側でのランク付けがなされており、それが年収に直接関わってくるとのことでした。
また、以下の福利厚生のセクションでも触れますが、スタッフ層(コンサルタント以下)には年収にプラスして36万円/年の家賃補助(実家住みの場合は12万円/年)が出ますので、上記表の数字よりも実際は好待遇と言えるでしょう。
しかし、一昨年アクセンチュアに新卒で入社されたAさんによると「ボーナスはほぼなく、昇給が延期されたため、競合他社の内定先に進めばよかったと正直後悔している」とのこと…。
実力次第で新卒からスピード昇進!アクセンチュアの評価・昇進事情
ここからは年収を大きく左右するアクセンチュアの評価や昇進事情について、インターネット上の情報や現役社員の方へのインタビュー内容を踏まえてまとめていきます。
まずはアクセンチュアにおける評価方法は以下の通りです。
- 四半期に1回プロジェクトの上長(SVと呼ばれる)から評価を受ける
- 育成担当の上司(People Lead)がSVからの評価を1年間分集約する
- マネージャー以上が行う評価会議(年1回)にてPeople Leadが自身の評価を主張し、最終的な評価が決定する
現役社員の方によると、外資系企業と言いつつも最終的にはMupにて評価が決まっていくため、社内のネットワーキングが重要になってくるとのこと。
さらに、自身の担当であるPeople Leadが、評価会議においてどのように自身の成果や取り組みを主張してくれているかは不透明であり、People Leadの力量によってもプロモーションや昇給の可否が決まってくるようで、ここでもある意味上司ガチャ的要素があるとのことでした。
次に、タイトルごとに「次のタイトルへの昇進に要する年数」をまとめました。
上記は企業口コミサイト等のインターネット上に公開されている情報とPRACAREER運営にて行った現役社員3名へのヒアリングにて作成したタイトル別昇進スピード一覧表です。
現役社員の方の声を踏まえると、近年ではグローバルの業績不振によってプロモーションの枠が狭まっていたり、ジェンダー平等の観点から女性のプロモーションが増えていたりなど、状況に応じたプロモーションが行われているようですので、上記はあくまでも参考値としてご覧ください。
過去、アナリストから1年ずつ昇進をしていき、5年目でマネージャーに昇格するような方もいらっしゃったそうで、パフォーマンスを上げ、適切な社内政治ができていればスピード昇進も可能であったようです。
しかし、上述の通り、グローバルでの業績や社会からの要請によってプロモーションが変わってくるのがリアルなところですので、今はそれほどスピーディに昇進はできないのではないか、と現役社員の方から伺っています。
新卒は家賃補助アリ?アクセンチュアの主な福利厚生
次に、気になるアクセンチュアの福利厚生についてまとめます。以下は福利厚生の一覧(公式HPの情報を引用し作成)です。
確定拠出年金制度(401k)
会社は社員の給与の5%を毎年拠出します。希望により前払い退職金として受け取る選択も可能です。(前払いの場合は、毎月1か月分の基本給の5%を支給されるとのこと)
従業員株式購入プラン
アクセンチュアの株式を社員が割引価格で購入できる制度です。(給与の10%を上限に、15%割引で購入可能とのこと)
長期収入所得補償(LTD)
病気やケガ等で長期間働けなくなった際に最大5年間、年収の約60%が補償されます。(免責期間あり)
法人会員及び契約施設・ホテル等の割引特典
アクセンチュアの株式を社員が割引価格で購入できる制度です。(給与の10%を上限に、15%割引で購入可能とのこと)
ポイント・割引サービス
アクセンチュア健康保険組合提供のカフェテリアプラン(3万円/年との口コミあり)や、その他割引・優遇サービス等を通じて、健康関連商品の購入やジム利用、旅行などの優待が利用できます。
健康サポート
健康診断(年1回)の受診が求められる他、常駐する産業医や保健師への健康相談、社外のカウンセラーによるカウンセリング支援などが受けられます。
アクセンチュアには従業員株式購入プランがあり、市場価格に対して15 %オフの価格でアクセンチュアの株が買えるとのことです。
これは買った瞬間にアクセンチュアの保有株式に対して+15%の評価益が付くのと同義であり、非常に魅力的な制度と言えます。
次に、アクセンチュアの働き方に関する制度をまとめます。
フレックス制度
毎月1日から末日までにおける標準総労働時間の枠内で、社員が各日の始業および終業の時刻を自主的に決めることのできる制度です。
在宅勤務制度
業務上可能と会社が判断した場合、承認に基づき利用可能です。
短日短時間勤務制度
週3日以上及び週20時間以上の範囲内で勤務時間を設定できます。制度利用の理由は育児や介護、ボランティア活動への参加も認められます。
母体保護休暇
妊娠中の体調悪化時に80時間までの休息、定期受診等で月1回まで通院のための特別有給休暇を取得できます。
配偶者・ライフパートナー出産休暇
出産日の前後1か月以内に1労働日、特別有給休暇を取得できます。
子の看護休暇
小学校就学前の子の怪我、疾病、あるいは予防のため、子の人数に応じて年間40時間または80時間の休暇を取得できます。
育児時間
子が1歳になるまで、女性社員は休憩時間のほかに1日2回各30分まで(または1日1回1時間)、子を育てるための時間を有給扱いで取得できます。
ベビーシッター補助
ベビーシッターの利用にあたり、初期費用100%、利用費50% (上限2万円/月)を会社が負担します。
介護休業
要介護状態にある家族の介護時、最長1年間は休職期間の延長が可能です。
出産休暇
産前6週間、産後8週間の出産休暇を取得できます。
育児休業
2歳まで育児休業を取得できます。(養育・同居条件あり)
内閣府ベビーシッター割引券の無料配布
ベビーシッターの利用にあたり、1日4,400円の割引券を利用できます。
ベビーシッター法人契約
当日ベビーシッター予約可能且つ病児保育対応のためお子様の急病や急な仕事が入った場合でもお子様を預けられます。
育児コンシェルジュサービス
育児全般に関する問い合わせに経験豊富な育児コンシェルジェが対応します。
ライフパートナー制度
社員のライフパートナー(互いの関係性を証明できる者)にも各種制度や福利厚生が適用され、イベントの同伴なども可能となります。
自由な働き方を叶えるリモートワークの制度やライフステージに応じた各種支援制度が整っており、長期的な目線を持って働くことができる企業と言えるのではないでしょうか。
また、ライフパートナー制度といった多様性を実現するための制度も整っており、昨今話題のDE&Iに注力していることも伺えます。
最後に、休暇と手当の制度についてまとめます。
休暇
- 年次有給休暇
- 私傷病休暇(※試用期間終了後から取得可能)
- 結婚・出産・忌引休暇(ライフ・パートナーの場合を含む)
- リフレッシュ休暇
- ボランティア休暇
手当
- 時間外勤務手当
- 深夜勤務手当
- 出張手当
- 住宅手当
- 交通費支給
特筆すべきはやはり「家賃補助(一人暮らし:36万円/年、実家住み:12万円/年)」でしょう。上記で初年度年俸を比較した主要総合コンサルティングファームにおいて、唯一家賃補助が出るのがアクセンチュアです。
さらに、福利厚生や働き方の制度について、現役社員の方からは以下のような情報を伺いました。
の口コミ
- 自己研鑽補助として資格取得補助がある
- リッツカールトンなどのハイクラスなホテルで社割が使える
- プロジェクトによっては常駐もあるが、週4リモート・週1出社の方が多い印象がある
是非、参考にしてください。
外資系企業・コンサルティングファームとしては非常に珍しく、福利厚生が整っているのがアクセンチュアの特徴と言えますね!
アクセンチュアはブラック企業?新卒が気になる働き方
アクセンチュアと聞くと、違法残業で書類送検されたニュースが出ている等、ブラック企業としてのイメージが強い方もいらっしゃるのではないかと思います。
そこで今回は待遇と併せて、働き方についても企業口コミサイト等のインターネット上に落ちている情報や現役社員の方のインタビュー内容を踏まえてまとめました。
結論、プロジェクトにはよるものの「比較的ホワイトに働ける環境」と言えるのではないでしょうか。
例えば、勤務時間に関して、Openworkは月平均31.6時間の残業があると算出しています。ここから、平均で1日1.5時間くらい残業をする試算になります。
アクセンチュアの所定労働時間が7時間であることを考えると、朝の9時半から出社/始業し、お昼休憩を経て19時頃に退社/終業するようなイメージでしょう。
国内の主要総合コンサルティングファーム8社のうち、アクセンチュアは時間外労働が2番目に少なく、有給消化率が最も高いファームであり、働く環境は非常に整備されている印象を受けます。
月の残業時間は45時間が最大であり、ほとんどのプロジェクトにおいてマネージャーがそれを超えないように調整しているとのお話がありました。
また、万が一45時間を超えそうな場合には、プロジェクトのマネージャーからマネージングディレクターに承認を得る必要があるため、そこが最終防衛ライン的に働いているとのことでした。
しかし、プロジェクトによっては45時間を超えることもあり、比較的ハードに働く必要があるため、瞬間的にブラックな働き方になってしまうことは頭に入れておいた方が良さそうです。
ただ、多くのコンサルティングファームと違い、みなし残業時間がないため、働いた分はきちんと給料に反映されるとのことで、人によっては「プロジェクト次第で月給が10万円程変わる」こともあるそうです。
加えて、アクセンチュアは「Project PRIDE」という独自の働き方改革を推進してきており、以下のような効果・実績を上げているとのことです。
過去のブラックなイメージとは裏腹に様々な組織改革を経てアクセンチュアは、徐々にではあるかもしれませんが、誰もが働きやすい企業へと変わってきているようですね。
まとめ:アクセンチュアは新卒から好待遇
これまでの内容を踏まえると、アクセンチュアは「高水準な給与体系と充実した福利厚生を備えた魅力的な企業」と言えるでしょう。
新卒1年目から430万円という年俸に加え、家賃補助や働き方に関する諸制度など、社員のライフスタイルをサポートする制度が整っています。
また、月平均31.6時間という比較的抑えめな残業時間や高い有給消化率が示すように、ワークライフバランスへの配慮がなされています。
プロジェクトによって業務量の変動はあるものの、アクセンチュア独自の取り組みである「Project PRIDE」による働き方改革も着実に成果を上げています。
過去のブラックなイメージを払拭すべく、組織改革に取り組み、より働きやすい環境作りを進めている企業として、今後も多くの求職者から注目される存在となるのではないでしょうか。
是非、これらの情報を参考にしていただき、アクセンチュアの志望を考えてみてください。
よくある質問
- アクセンチュアではフルリモートでの稼働は可能ですか?
-
プロジェクトによっては可能であるとのことです。しかし、近年ではオフィス出社を増やしていく方向に舵を切ったとの口コミもありますので、要注意です。
- アクセンチュアに入るにはどれくらいの英語力が必要ですか?
-
入社のために英語は必要ありません。プロジェクトワークでも使わないことがほとんどだと言います。しかし、タイトルを上げていくためにはTOEIC等の点数要件があるので、その点は注意が必要です。
- アクセンチュアでは副業はできますか?
-
原則禁止ではあるものの、制度上副業は可能です。アクセンチュアのビジネスと競合しないなど、様々な要件があり、承認が下りれば正式に副業ができます。