世界4大監査法人であるBIG4の1つ、EY(アーンスト・アンド・ヤング)のブランドを冠するEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社。
業界においては新興ファームながらも、近年「プロジェクト・ドラゴン」等によって知名度を増し、確かな存在感を発揮する同社で働く人々はどれだけの待遇を得ているのか。
本記事では、そんな気になるEYストラテジー・アンド・コンサルティングの待遇についてまとめました。是非、就職活動や転職活動の際の志望先選定にお役立ていただければと思います。
本記事のポイント
- EYストラテジー・アンド・コンサルティングの平均年収は約900-970万円!
- EYストラテジー・アンド・コンサルティングの新卒1年目の年収は約590万円!
- EYストラテジー・アンド・コンサルティングでは学費約1,000万円のMBAが無料で取れる!
- EYストラテジー・アンド・コンサルティングの平均残業時間は約46時間
EYストラテジー・アンド・コンサルティングとはどんな企業?
待遇の情報に入る前に、まずはEYストラテジー・アンド・コンサルティングの企業概要について紹介します。
EY Japanのコンサルティング部隊である「EYストラテジー・アンド・コンサルティング」は、国内で3拠点・約4,000名を抱え、日本全国の名だたる企業に対して幅広くサービスを提供しているコンサルティングファームです。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、EYのグローバルネットワークのアジア・パシフィックエリアにおいて、最大のリージョン(国)であります。
そんなEYストラテジー・アンド・コンサルティングは、独立した法人として、EY Japanの各法人(EY新日本有限責任監査法人、EY税理士法人等)と連携しながら、ワンストップのサービス提供を行っています。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングのオフィス(東京)は、三井不動産が手掛ける「東京ミッドタウン日比谷 三井タワー」の中に入っており、スカイラウンジやスカイガーデン、そしてフィットネスジムがあるような、極めて高機能なオフィスとなっています。
また、以下では簡単に売上高なども紹介します。
まずはEYストラテジー・アンド・コンサルティングがメンバーであるEY Japanの売上高と成長率の推移です。
EY Japanは、2019年から2023年までの5年間で売上を約1.7倍に成長させてきました。
また、成長率の全体のトレンドとしては右肩上がりで、2021年以降は売上高成長率(前年比)において3年連続二桁成長を遂げています。
初任給や新卒1年目の年収・福利厚生は?EYストラテジー・アンド・コンサルティングのリアルな待遇
このセクションでは多くの方々が一番気になるであろう年収や評価・昇進、福利厚生などと言った「リアルな待遇」の話を、実際の社員の方々へのインタビュー内容も含めて、具体的にまとめていきます。
気になるEYストラテジー・アンド・コンサルティングの新卒1年目の年収は?
まず、新卒で志望先を選ぶ際に気になるのは初任給がいくらかだと思います。
以下では、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの初任給をみなし残業時間と併せて競合他社であるBIG4と比較しながら見ていきます。
初年度年俸 | みなし残業(時間) | |
---|---|---|
PwC | 650万円 | 30 |
EY | 590万円 | 50 |
Deloitte | 580万円 | 50 |
KPMG | 570万円 | 50 |
上記のデータより、見込み残業時間は50時間分あるものの、EYはBIG4の中でPwCに次いで2番目に初年度年俸(新卒1年目の年収)が高いファームであるということが明らかです。
また、ボーナスが年俸に含まれていることを加味すると、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの初任給は49万円ほどになります。
新卒1年目の可処分所得(自由に使えるお金)はどれくらい?
就活生が意外と分からないのが、新卒1年目にどんな生活をした場合にどのくらい手元にお金が残るのかではないでしょうか。
社会人になってから大きく分かれる「実家住み」と「一人暮らし」でざっくりと二分し、EYストラテジー・アンド・コンサルティングにおける1年目の可処分所得を算出してみましたので、参考にしてみてください。
月給(手取り) | 生活費 | 可処分所得 | |
---|---|---|---|
実家住み | 38万円 | 8万円 | 30万円 |
一人暮らし | 38万円 | 20万円 | 18万円 |
※実家住みは月6万円、一人暮らしは月10万円の水道光熱費・食費とする
生活費は家賃や食費・水道光熱費など生活に必要最低限なもので算出し、可処分所得は月給から生活費を引いて算出しています。
かなりざっくりとした計算にはなりますが、自由に使えるお金は実家住みで30万円、一人暮らしで18万円となりました。
新卒1年目でこれだけのお金が手元に残るのであれば、かなり贅沢に暮らせるのではないでしょうか。
口コミ
それなりに贅沢な国内旅行を月1回のペースでしていても貯金や投資ができているので、非常に満足しています。
皆さんも是非、この可処分所得があるときに何をしたいか・どんな生活ができそうか、新卒1年目の生活をイメージしてみてくださいね。
業界内でも給与高め?EYストラテジー・アンド・コンサルティングの年収事情
次に、待遇として一番イメージする年収(給与)について、インターネット上に落ちている情報と実際の社員の声をまとめます。
主な給与系データを持つ3つの媒体において無料で公開されている平均年収をまとめました。
媒体 | 平均年収 |
---|---|
Openwork | 902万円 |
OpenMoney | 927万円(29.8歳) |
エンゲージ 会社の評判 | 966万円(33.6歳) |
上記のデータから、EYストラテジー・アンド・コンサルティング全体での平均年収は900~970万円程であると推測されます。
この数字の幅を鑑みると、コンサルティング業界の平均年収(FCON算出)である945万円よりやや低い年収水準にあるという評価になるでしょう。
ただ、日本全体の平均年収(400万円程度)を加味すると、給与はさすが外資系コンサルティングファームといったところでしょう。
さらにEYストラテジー・アンド・コンサルティングにおけるタイトル別年収の参考値をご紹介します。
上記は企業口コミサイト等のインターネット上に公開されている情報とPRACAREER運営にて行った現役社員3名へのヒアリングにて作成したタイトル別年収一覧表です。
必ずしも正しい数値というわけではありませんので、あくまでも参考値としてご活用ください。
給与は年俸(基本給+ボーナス)として提示され、その年俸を12分割して月給として支払われます。ボーナスが月給に按分されて支給されるため、月給が競合他社比で高いことが特徴です。
また、上記のボーナスとは別にパフォーマンスボーナスというプロジェクトの成果に応じたボーナスが毎年10月に支給され、平均して月給1か月分ほどが支給されるとのことです。
インタビューに応じてくださった現役社員(コンサルタント)の方によると、コンサルタントにおけるパフォーマンスボーナスは10万円~100万円程度のレンジであるそうです。
実力次第でスピード昇進が狙える!EYストラテジー・アンド・コンサルティングの評価・昇進事情
ここからは年収を大きく左右するEYストラテジー・アンド・コンサルティングの評価や昇進事情について、インターネット上の情報や現役社員の方へのインタビュー内容を踏まえてまとめていきます。
まずはEYストラテジー・アンド・コンサルティングにおける評価方法は以下の通りです。
- アサイン先の各プロジェクトの上司(EM:エンゲージメントマネージャー)からコンサルタントのスキルセットを示す10項目に対して5段階で評価をしてもらう
- カウンセラーと呼ばれるプロジェクトとは関係のない上司が、自身のプロジェクト毎の評価を取りまとめた上で、年3回の評価会議にて自身(評価対象)の評価をプレゼンテーションする
- 年3回の評価会議の結果を総合勘案して10月に年間評価が決定される
- 評価に対して異議申し立てをしたい場合、カウンセラーに相談し、評価に対する交渉をしてもらえることがある
現役社員の方によると、最終的にはMup(マネージャー以上)にて評価が決まっていくものの、評価項目やプロセス自体は非常に納得のいくもので、評価の透明性も高いとのことでした。
しかし、部署によっては年3回の評価会議のうち1つでも悪い評価を取ると総合評価が伸び悩む傾向があるなど、一部納得のいかない評価を貰うこともあるそうです。
また、シニアコンサルタント以下はKPIとして稼働率(1年間のうちどれだけプロジェクトにアサインされて稼働していたか)が見られるとのことです。
次に、タイトルごとに「次のタイトルへの昇進に要する年数」をまとめました。
上記は企業口コミサイト等のインターネット上に公開されている情報とPRACAREER運営にて行った現役社員3名へのヒアリングにて作成したタイトル別昇進スピード一覧表です。
現役社員の方の声を踏まえると、基本的にはパフォーマンスによる評価であるため年功序列的な評価はないとのことですので、上記はあくまでも参考値としてご覧ください。
コンサルタントからシニアコンサルタント、シニアコンサルタントからマネージャーまでは最短で2年ずつ(計4年)で昇進していくとのことでした。
また、マネージャーまでは平均してそれぞれ4年ずつ(計8年)の昇進スピードが目安になります。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの主な福利厚生
次に、気になる福利厚生についてまとめます。
福利厚生
- ベビーシッター利用等補助制度
- 健康保険制度
- 総合福祉団体定期保険
- 企業型確定拠出年金(401K)
- 東京海上日動メディカルアシスト
- メンタルサポートサービス
- カフェテリアプラン(2~3万円/年)
- 全国契約宿泊施設の割引利用
- 在宅手当(5千円/月)
- 確定拠出年金制度
- 自己研鑽支援(資格取得等)
社員の健康面や家族を気遣った制度が多数ある一方で、家賃補助や社員寮はなく、日系の大企業と比較すると生活のコストはかさみそうですね。
着目すべきはEYのメンバーであればグローバルで非常に評価の高い「Hult International Business School」のMBAを無料で取得することができることでしょう。
私費で取得しようとすると約1,000万円($85,000)の学費がかかることから、これは非常に魅力的な福利厚生でしょう。
また、退職金はなく、前払いとして年俸に含まれているとのことですので、ご注意ください。
休日・休暇の詳細については以下の通りです。
休日・休暇
- ⼟曜⽇・⽇曜⽇・国⺠の祝⽇(ただし指定する祝⽇は除く)
- 年末年始(12⽉29⽇から翌年1⽉4⽇まで)
- 創⽴記念⽇(8⽉の第3⽉曜⽇)
- その他会社が指定する休⽇
- 年次有給休暇:初年度15⽇間(年間/⼊社⽉により按分)
- その他の休暇
プロジェクト中に大きな休みは取りづらいとのことですが、ゴールデンウィークや年末年始などの大型連休・長期休暇については休みを取りやすいとのことでした。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングはブラック企業?気になる働き方
未だにブラックなイメージのあるコンサルティング業界ですが、EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、いわゆるホワイト企業なのでしょうか。
結論、基本的には「ある程度ホワイトに働ける環境」と言えるのではないでしょうか。
例えば、勤務時間に関して、Openworkは月平均46.3時間の残業があると算出しています。ここから、平均で1日2時間くらい残業をする試算になります。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの所定労働時間が7時間であることを考えると、朝の9時半から出社/始業し、お昼休憩を経て19時半ころに退社/終業するようなイメージでしょう。
また、現役社員の方は全員口を揃えて「プロジェクトやチーム、上長次第だが…」という枕詞を付けており、毎日定時退社できるプロジェクトもあれば、土日を使っても間に合わないようなプロジェクトも存在しているようです。
そのため、瞬間的にはブラックな環境になる可能性は考慮する必要があるとのことでしたが、ジュニアのうちは特に、定時で退社できるようなパターンも少なくないと伺っていますので、比較的ホワイトに働ける環境であるはずです。
ちなみに、働き方はかなり自由で基本的には毎日在宅でも業務に支障は出ないとのこと!毎日通勤しなくていいのはワークライフバランスを考えるうえで非常に魅力的ですね。
まとめ
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、日本国内においては新興ファームながら、非常に魅力的な待遇を提供しています。
福利厚生面では、各種保険や健康診断、確定拠出年金制度など、社員の健康と将来を見据えた必要最低限の制度を整えていますが、何よりも約1,000万円相当のHult International Business SchoolのMBAを無料で取得できる制度が魅力的です。
働き方に関しては、月平均46.3時間の残業と比較的抑えめで、基本的にリモートワークにも対応しているなど、ワークライフバランスへの配慮が見られ、プロジェクトによって繁閑の差はあるものの、特にジュニアレベルでは定時退社も可能な環境が整っています。
新卒1年目の可処分所得も、実家住みで月30万円、一人暮らしでも月18万円と、充実した生活を送れる水準となっており、総じて高い報酬と自己成長の機会、そして比較的バランスの取れた働き方を提供する企業と言えるのではないでしょうか。
是非、これらの情報を参考にしていただき、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの志望を考えてみてください。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングを新卒で志望する学生からのよくある質問
- EYストラテジー・アンド・コンサルティングではどのくらいの英語力が必要ですか?
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募集要項に「ビジネスレベルの英語⼒が好ましい」と記載があるため、英語力がないと受からないということはありませんが、英語力があると選考に有利に働くことはありそうです。
実際、新卒社員の方に伺う中でも英語が全く話せない同期はいるとのことですので、英語力がないために選考で落とされることはないでしょう。 - EYストラテジー・アンド・コンサルティングは成果主義ですか?
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成果主義の評価体系ではあるものの、プロジェクトや上司次第で評価が変わりプロモーションも決まっていくため、一定社内政治も重要視されます。
評価・昇進に関してはパフォーマンス以外にも上長との個人的な関係値が影響してくるとの声があります。 - EYストラテジー・アンド・コンサルティングでは部署移動が可能ですか?
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可能ですが、ケースとしてはそれほど多くはないようです。