富士通について、就職難易度から初任給等の待遇まで、新卒で富士通を志望する就活生が知っておくべき情報の全てをまとめています。
富士通はどんな会社?|日本を代表するIT企業
企業名 | 富士通株式会社 (Fujitsu Limited) |
---|---|
代表者(代表取締役社長 CEO) | 時田 隆仁 |
所在地(オフィス) | 富士通株式会社 本店 (神奈川県川崎市中原区上小田中4-1-1) |
連結売上高 | 3兆7,560億円 |
連結子会社数 | 312社 (グループ全体/2024年3月31日時点) |
従業員数 | 単体:35,924人 連結:124,000人 |
1923年に設立され、関東大震災で被災した電気設備の復旧に多大なる貢献をした「富士電機製造株式会社」の通信機部門に起源を持つ富士通。
その当時からずっと我々の生活の通信基盤を支えている同社は、自社でハードウェアの開発ができる「メーカー系SIer」として、システム開発の上流から保守運用までを一貫して担うワンストップサービスを提供しています。
ITサービス市場においては、グローバルではDeloitteに次ぐ規模、国内ではNTTデータ等を抑えて最も規模の大きい売上高を誇っており、富士通はまさに日本を代表するIT企業と言えます。
富士通の事業|テクノロジーに関する包括的な事業展開
富士通は主に以下3つのソリューションを用いて、開発から保守運用までを総合的に提供するトータルソリューションビジネスを展開しています。
ソリューション | 概要 |
---|---|
テクノロジーソリューション | 主として法人のクライアント向けに、高度な技術と高品質なシステムプラットフォームおよびサービスを機軸として、ITを活用したビジネスソリューション(ビジネス最適化)をグローバルに提供。 |
ユビキタスプロダクトソリューション | パソコンは、スマートフォン連携や省電力、高速起動などの機能強化や、タブレット端末の展開、また日本市場においては、国内品質を武器とした商品ラインナップを展開。 |
デバイスソリューション | LSIと電子部品で構成され、富士通グループの半導体事業会社である富士通セミコンダクターがデジタル家電や自動車、携帯電話、サーバなどに搭載されるLSIを提供。また、上場連結子会社である、新光電気工業、富士通コンポーネント、FDKなどが半導体パッケージをはじめとする電子部品のほか、電池、リレー、コネクタなどの機構部品を提供。 |
また、これらのソリューションを持って、製造・流通・物流・金融・官公庁・自治体・ヘルスケアといった様々な業種、CRM・デジタルマーケティング・研究開発支援・サプライチェーンマネジメント等の様々な業務に対するサービス提供を行っています。
特に官公庁向けのサービス提供で圧倒的な強みを誇り、大手SIerの中でも大規模、かつ堅牢なシステム開発を主導できる企業としてポジションを築いています。
富士通のパーパス・価値観|Fujitsu Way
富士通では「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」というパーパスを中心に置き、全社員の原理原則である「Fujitsu Way」を掲げています。
この「Fujitsu Way」においてパーパスの周囲を囲っている言葉「挑戦」「信頼」「共感」が、富士通が大切にしている3つの価値観であり、それぞれ以下の要素を持っています。
- 挑戦
- 志高くターゲットを設定し、スピード感をもって取組みます
- 多様性を受け入れ、斬新なアイデアを生み出します
- 好奇心を持ち、失敗や経験から学びます
- ヒューマンセントリックなイノベーションにより、より良いインパクトをもたらします
- 信頼
- 約束を守り、期待を超える成果を出します
- 倫理感と透明性を持って誠実に行動します
- 自律的に働き、共通のゴールに向けて協力します
- テクノロジーを活用し、信頼ある社会づくりに貢献します
- 共感
- お客様の成功と持続的な成長を追求します
- すべての人々に耳を傾け、地球のことを考えて行動します
- グローバルな課題を解決するために協働します
- 社員、お客様、パートナー、コミュニティ、株主に共通価値を創造します
富士通の求める人材像(後述)がこれらの「大切にしている価値観」と関連付けて掲げられていることから、必ずパーパスと大切にしている価値観との関係性やそれぞれの内容を理解しておくようにしましょう。
富士通の採用人数|新卒は大量採用をしている
以下が富士通の過去4年間の採用人数です。
年度 | 合計 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
2023年度 | 800 | 470 | 330 |
2022年度 | 750 | 500 | 250 |
2021年度 | 750 | 500 | 250 |
富士通は、過去3年間で各年750人以上の新卒を採用していることが分かります。
日本の大手企業(従業員数1,000人以上)の平均的な新卒採用人数が、企業規模100人あたり3~5人であることを踏まえると、富士通はその平均的な採用人数を大きく下回る新卒を取っていることになります。
しかし、東洋経済の「新卒採用数が多い会社ランキング」トップ300において、富士通は3位にランクインするなど、日本企業で相対的にかなり採用人数が多い企業であることが分かります。
以上を踏まえ、富士通は新卒の大量採用をしていると言えるでしょう。
特に近年、新卒採用は拡大傾向で、2020年度から固定されていた新卒採用人数750人から50名程増え、800人となっています。
また、それと同時に、新卒採用者における女性比率を約10%程増やしていますので、特に女性を積極採用していることが分かります。
富士通の採用大学|新卒採用は学歴フィルターなし
就職四季報2022年版によると、富士通の採用実績がある大学は以下の通りです。
早稲田大学、慶應義塾大学、大阪大学、明治大学、北海道大学、東京工業大学、東京理科大学、東京大学、神戸大学、東北大学、同志社大学、九州大学、名古屋大学、京都大学、上智大学、ほか
これだけを見ると、早慶や旧帝大等の難関有名大学から多く採用されているように見えますが、各大学の就職先一覧を確認すると、実際は日東駒専やそれよりも大学入学時の偏差値が低い大学群からの採用も多数あります。
このことから、富士通には学歴フィルターはなく、新卒採用の門戸が極めて広く開かれていることが分かります。
富士通の就職難易度|普通
富士通は、就活生への人気度を測った以下のランキングでランクインしており、就活生にとって極めて人気のある企業であることが伺えます。
- みん就・日経コンピュータによる「IT業界新卒就職人気企業ランキング」において、2位にランクイン
- みん就による「2024年卒 新卒就職人気企業ランキング トップ20」において、15位にランクイン
しかし、高学歴層のみを対象としたハウテレビジョンの「26卒人気企業総合ランキング」にてランク外であることや、800名の新卒を採用すること、そして採用大学が多岐に渡ることから、就職難易度は「普通」という評価になるでしょう。
富士通の新卒採用|ビジネス職から開発職まで
富士通の募集職種
富士通では以下の職種において新卒を募集しています(2024年12月中旬時点)。
ビジネスプロデューサー/ソリューションエンジニア/データサイエンティスト/研究開発(ソフトウェア開発・ハードウェア開発・研究)/施工管理/デザイン/コーポレート(サプライチェーンマネジメント、法務、知的財産、財務・経理、総務・人事)/マーケティング(出所:富士通 新卒採用情報)
富士通の求める人物像
富士通は求める人物像について、以下のように述べています。
私たちが求める人材は富士通のパーパスに共感し、自らのパーパスと重ね合わせて未来を描き、「挑戦」していく方。そして、周囲と「信頼」を構築し、「共感」を引き出し合いながら進められる方です。(引用:富士通 新卒採用 メッセージ)
これをポイントごとにまとめると、以下の4つに分けられ、それらは全てパーパスと富士通が大切にしている価値観に紐づいています。
パーパス | 富士通のパーパスと自らのパーパスを重ねて、実現したいことやキャリアを描くこと |
---|---|
①挑戦 | 「挑戦」すること |
②信頼 | 周囲と「信頼」を構築すること |
③共感 | 「共感」し合いながら物事を推進していくこと |
富士通が掲げる「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」というパーパスと絡めて、自分自身がやりたいことが整理できれば、それが自ずと富士通の志望動機となっているはずです。
また、挑戦・信頼・共感(上述の「富士通のパーパス・価値観のセクション」にて紹介)は、選考を通じて就活生が伝えていくべき資質です。
それぞれの言葉とその中身に展開されている内容をよく理解した上で、どのようなエピソードであればそれが伝わるかが整理できれば、それが自ずと富士通に向けて伝えるべきあなたの強みやそれを裏付けるエピソード(ガクチカ)になっているでしょう。
富士通の初任給|一律初任給を廃止し、実力に応じた処遇に
日経XTECHの記事によると、富士通は2026年度入社の新卒から一律の初任給を廃止し、仕事の内容・役割に応じて処遇が決まるジョブ型雇用を導入します。
2026年度からは新卒1年目の社員の大半が31.5~38.5万円の間となる見込みであると発表しています。
初任給が40万円以上となる場合も想定されているようで、上限はないとのことです。
また、その処遇は学生時代の経験(学外活動や研究の成果など)やインターンでの成果を判断材料として決定されます。
そのため、新卒1年目から同期間で給与に差が出る仕組みとなっており、年収にも100万円程差がついてくることが想定されます。
富士通の平均年収|業界平均の約2倍の年収
富士通の2024年6月24日提出の有価証券報告書によると、富士通の平均年収は「965万円(43.6歳)」です。
また、dodaが発表した「業種分類別の平均年収ランキング」において、IT/通信の平均年収は460万円でした。
そのデータと比較すると、富士通の平均年収は業界平均の約2倍であることが分かります。
富士通の福利厚生|綺麗な借り上げ社宅が魅力
富士通には以下の福利厚生があります(参照:富士通の働き方・働く環境・福利厚生)。
- 通勤費補助
- 団体保険制度
- ファミリーアシスト給付(家族手当)
- 福利厚生ポイント制度(カフェテリアプラン)
- 多様な福利厚生メニューの中から社員が希望するものや必要なものを選んで利用できる制度です。
- 住宅支援(家賃補助・寮・持家支援・転貸管理サービス等)
- 新入社員向けの寮
- 独身者向け/家族扶養者向けの家賃補助制度
- 住宅取得補助を目的とした財形制度
- 従業員持株会
- 財形貯蓄
- 財形奨励金
- 富士通企業年金制度
- 確定拠出年金制度
- 各種保養施設
- スポーツクラブ利用費用補助
- 婦人科健診費用補助 他
新入社員向けの寮(借り上げ社宅)は新卒3年目まで、約1万円/月で住むことができます。4年目以降は30歳まで(独身であれば)最大3万円/月の家賃補助があります。
富士通の新卒選考フロー | コース別選考でシンプルな設計
まず、富士通では、就活生の志向性や興味関心を活かせるよう、以下4つの選考コース(併願不可)を設けています。
選考 | 概要 |
---|---|
ソリューションエンジニアコース | 内定時にソリューションエンジニア職での入社を約束 |
ビジネスプロデューサーコース | 内定時にビジネスプロデューサー職での入社を約束 |
JOBマッチングコース | 内定時に配属本部・職種を決定 |
研究所コース※学校推薦のみ | 内定時に志望する研究領域に関わることを約束 |
そして、富士通の新卒選考フロー(本選考)は以下の通りです。コースによって若干の違いがあります。
ソリューションエンジニアコース・ビジネスプロデューサーコース
- エントリーシート
- WEBテスト(玉手箱)
- 一次面接
- 二次面接
- 最終面接
- 内定
JOBマッチングコース・研究所コース
- エントリーシート
- WEBテスト(玉手箱)
- マッチング面接(JOBマッチングコースにおいては指定の自己PR資料を用いる)
- 人事最終面接
- 内定
また、インターンシップ経由の選考優遇もあり、その場合は二次面接が免除となり、面接2回で内定が出ていました。
まとめ
本記事では、富士通の企業概要から、就職難易度、選考フロー、そして初任給や福利厚生まで詳しく解説してきました。
特に注目すべきは、2026年度入社から導入されるジョブ型の給与体系と、業界平均の約2倍という高水準の平均年収です。
また、充実した福利厚生制度と4つの選考コースによる明確なキャリアパスも、就活生にとって魅力的なポイントと言えるでしょう。
よくある質問
- 富士通では、文系でもソリューションエンジニアとして配属が決まることはある?
-
あります。富士通では、個人の適性と興味関心を踏まえて配属しているとのことです。
- 富士通の賞与支給時期はいつ?
-
6月と12月の2回が賞与の支給タイミングです。
- 富士通では、フルリモートでの勤務は可能?
-
可能です。全社でリモートワークが推奨されているとのことです。また、リモートワークは家だけでなく、富士通が契約しているシェアオフィスサービスを活用することができ、自分自身の裁量で働く場所を選ぶことができます。